
家族葬の小規模化や大手葬儀社の出店拡大、料金トラブルに関する報道など、葬祭業界を取り巻く環境は大きく変化しています。
こうした中で、
「以前に比べて問い合わせが減ってきた」
「他社と比較され、なかなか受注につながらない」
といった課題を感じている経営者様も多いのではないでしょうか。
これまでと同じ営業方法や販促活動を続けるだけでは、成果につながりにくくなっています。
今求められているのは、生活者のニーズや心理の変化を捉え、自社の商圏や顧客に合った取り組みを進めることです。
そこで今回は、現場の工夫や新たな販促施策によって、
事前相談数や施行率、売上の向上につなげた地域密着型葬儀社の成功事例を3つご紹介します。
今後の集客や営業活動を見直すきっかけとして、ぜひ繁忙期対策にもお役立てください。
事例① 1日葬を打ち出して相談件数が2倍に
家族葬の小規模化が進む中、近年注目を集めているのが「1日葬」です。
以前は首都圏や関西圏などの都市部を中心に広がっていましたが、最近では地方都市や郊外エリアでも関心が高まっています。
愛知県で葬儀事業を展開するA社様でも、近隣の都市部で1日葬への反響が高まっていることを受け、自社の商圏でも同様のニーズがあるのではないかと考えていました。
しかし、当時の葬儀形式別の構成比を見ると、1日葬は全体の10~20%程度。まだ主流の選択肢として定着しているとは言えない状況でした。
そこで同社が取り組んだのが、現場の葬祭ディレクターへのヒアリングです。
実際にお客様と接している担当者から話を聞くことで、生活者がどのような思いで1日葬を検討しているのかを探りました。
すると、興味深い実態が見えてきました。
お客様から「1日葬で見積もりをお願いします」と直接言われることはほとんどありません。
実際には、「1日だけでお別れを終わらせることはできないだろうか」 「通夜を行わない形でお見送りすることは可能なのか」と日常的な言葉で相談されることが多かったのです。
つまり、お客様は1日葬という言葉や形式を知っているとは限りません。
さらに、お通夜を省略することに対して「親族から反対されるのではないか」 「簡素なお別れだと思われないだろうか」といった不安を抱え、希望があってもなかなか一歩を踏み出せないケースも考えられます。
こうしたお客様の本音を踏まえ、A社様は新たなチラシの企画・制作に着手しました。
ポイントは、業界で一般的に使われる 「1日葬」という言葉ではなく、お客様にも伝わりやすい「通夜なしの家族葬」という表現をメインコピーに採用したことです。
加えて、お通夜を行わないことで得られるメリットを訴求しました。
このチラシを商圏内に配布したところ、
それまで月10件程度だった事前相談件数が、配布後には月20件へと増加。
事前相談件数が約2倍に伸びたのです。
今回の事例で重要なのは、単に1日葬という商品を売り出したことではありません。
お客様が普段どのような言葉で悩みを表現しているのか、また、どのような不安から希望する葬儀形式を選べずにいるのかを、現場の声から丁寧に拾い上げたことです。
葬儀社側が伝えたい商品やサービスの名称を前面に出すだけでは、必ずしもお客様の反響にはつながりません。お客様自身もまだ言葉にできていない悩みを捉え、その気持ちに寄り添った表現で情報を届けることが大切です。
自社の商圏にどのような潜在ニーズがあるのか。まずは日々お客様と接している葬祭ディレクターの声を聴き、チラシや広告の訴求内容を見直してみてはいかがでしょうか。
事例② 「価格トラブル報道」を逆手に取ったチラシで相談数1.7倍
近年、葬儀業界では料金に関する消費者トラブルが問題となっています。
「広告に掲載されていた金額より高額な請求を受けた」
「契約後に追加料金が発生した」
といった事例がメディアでも取り上げられ、消費者の間では葬儀費用に対する不安や警戒感が高まっています。
こうした状況の中、B社様は消費者の不安にあえて正面から向き合う販促施策を実施しました。
チラシでは、黄色と黒を基調とした警告マークを目立つ位置に配置し、
「葬儀料金をめぐるトラブルが過去最高に?!」
「追加料金で見積もりの2倍に?!」
「こんな広告には要注意!」
といった見出しを掲載。消費者が抱える「葬儀費用で失敗したくない」という気持ちを代弁し、関心を引く構成にしました。
さらに、トラブルを避けるための方法として、
元気なうちから事前相談をしておくことの大切さも訴求しました。
特にこだわったのが、価格の見せ方です。
「家族葬プラン38万円」 という基本価格だけでなく、火葬料や返礼品、飲食費などの必要費用も明記。
最終的に必要となる費用まで具体的に伝えることで、安心して相談できる内容にしたのです。
その結果、通常は月11件程度だった事前相談件数が、チラシ配布後には月18件へと相談獲得の増加につながりました。
今回の事例のポイントは、消費者の不安を避けるのではなく、あえて向き合い、自社の誠実さを伝えたことです。
価格の安さだけで競争するのではなく、費用の内訳や必要な金額を分かりやすく開示することが、他社との差別化につながります。
自社のチラシやホームページでも、お客様が安心して相談できる情報発信ができているか、見直してみてはいかがでしょうか。
事例③ 低価格専門のサブブランドを立ち上げ、年間120件・売上3,200万円を純増!
大手葬儀社の出店拡大や低価格広告の増加により、地域密着型の葬儀社を取り巻く競争は厳しさを増しています。
ある地域で長年事業を営むC社様も、近隣への大手競合の進出によって地域の価格相場が下落し、年間の施行件数が減少していました。
また、葬儀仲介ポータルサイト経由で年間約50件を受注していたものの、約30%の仲介手数料が発生するため、十分な利益を確保できていませんでした。
そこで同社が取り組んだのが、直葬・火葬式に特化したサブブランドの立ち上げです。
既存ブランドは手厚いサービスと品質を重視したプランを維持。
一方、新ブランドは17万円からの価格に設定し、「宗教者を呼ばない」という条件を設けました。
価格だけでなく提供するサービスにも違いを持たせることで、既存ブランドの顧客が低価格プランに流れることを防ぎました。
また、新たな会館を建設するのではなく、既存会館のスペースを共用することで、
初期投資をホームページ制作や看板設置などの数十万円程度に抑えました。
販促面では、通常の商圏である車で10分程度のエリアに加え、
車で約20分ほどの、離れた競合の少ない地域にもアプローチ。
野立て看板や、全戸配布チラシを活用し、直葬・火葬式という新たな選択肢を地域住民に伝えました。
その結果、サブブランド単体で年間120件の施行を獲得し、約3,200万円の売上を純増させることに成功しました。
今回のポイントは、既存ブランドの価値を守りながら、低価格市場を別ブランドで開拓したことです。
価格競争に巻き込まれた際も、既存商品の値下げだけが解決策ではありません。
ターゲットや提供サービスを明確に分け、新たなブランドとして展開することも、
地域密着型葬儀社が競争力を維持するための有効な選択肢です。
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競合対策や販促活動の見直し、事前相談の成約率向上など、経営者様が向き合う課題は多岐にわたります。
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