A.葬儀社が分業化からさらに生産性を高めるための2つのポイントです。
①「行かない」業務を決める
請求書のお届けや自宅打ち合わせなど、移動を伴う業務を削減
➁AIの活用
分業化で生じた情報引き継ぎの負担を、録音とAI要約で自動化し、顧客情報の入力や思い出す時間を削減
近年、葬儀業界では業務の「分業化」を進めることで、生産性を高める企業が増加しています。病院へのお迎え、ご遺族との打ち合わせ、式典の運営といった一連のフローを専門スタッフが分担することで、個人の負担を減らしつつ効率化を図れるからです。しかし、ある程度の分業化が定着した今、「これ以上どうやって生産性を上げればよいのか」と成長の壁に直面している葬儀社も少なくありません。今回は、分業化のさらに一歩先を行き、より高いレベルで生産性向上を実現するための「2つのポイント」をご紹介します。
①「行かない」業務を決めること
1つ目のポイントは、スタッフが物理的に移動する業務を極力減らすことです。葬儀業界には「お客様のもとへ直接足を運ぶことこそが最大の誠意である」という根強い固定観念があります。しかし、移動時間は直接的な価値を生み出しません。
例えば、葬儀後の請求書のお届けや集金業務。これらは郵送や銀行振込などに切り替えることで訪問を完全になくすことができます。また、従来当たり前だったご自宅での打ち合わせも、ご遺族に会館へお越しいただいたり、オンラインを活用したりすることが可能です。さらに、後祭壇(後飾り)の設置や毎日のドライアイス交換といった業務も、マニュアルを用いた事前の丁寧な説明や、保冷技術の導入によって、スタッフの訪問回数を大幅に削減できます。「行かない」という決断は、移動に奪われていた時間を、ご遺族への深いケアなど本当に価値のある業務に再投資するための戦略なのです。
しかし一方で、「行く」業務を決めることも重要となります。冒頭述べたとおり、訪問することで信頼関係ができ葬儀後のKPIに影響が出ることもあります。例えば、3回忌法要までフォローしていたお客様のほうがリピート受注率が高い傾向があると数値の結果が出た葬儀社もあります。
②AIを活用し、引き継ぎの無駄をなくすこと
2つ目のポイントは、テクノロジーを活用することです。実は、分業化には「担当者間の連携」という課題が潜んでいます。業務を分けたことで情報の引き継ぎが新たに発生し、かえって業務量が増えてしまうケースがあるのです。
特に、打ち合わせ担当者から式典担当者へ引き継ぐ際、顧客情報や細かな要望をシステムへ手入力するのに膨大な時間がかかっています。「あの時、ご家族は何とおっしゃっていたか」と思い出しながら入力する時間は、生産性を大きく低下させます。今までは通夜対応などで発生していた残業が、今度は顧客情報の入力で残業が発生しています。
ここで効果を発揮するのがAIの活用です。ご遺族との打ち合わせ音声を(許可を得た上で)録音し、AIを用いて自動で文字起こしと要約を行い、そのまま引き継ぎ資料としてまとめる仕組みを構築します。これにより、スタッフが手入力する時間と思い出す時間は劇的に削減されます。伝達漏れも防げるため、引き継ぎの精度も格段に上がり、結果としてご遺族へのサービス品質向上にも直結します。
まとめ
分業化で高めた生産性をさらに飛躍させるためには、旧態依然とした「足を運ぶ」習慣を見直すこと、そして分業化の副作用である「引き継ぎの摩擦」をAIで解消することが不可欠です。作業のための時間を減らし、ご遺族に寄り添う時間を増やす。これこそが、これからの葬儀社に求められる真の生産性向上と言えるでしょう。



